今月を視る(「むすぶ2012年12月号より)
2012-12-27


9条改悪、原発推進政権の登場に   
地域、現場の闘いのいっそうの強化で正面対決を!

大方のマスメディアの予想通り、第46回衆議院総選挙は原発維持、推進、9条などの平和・人権条項改悪、消費増税、TPP参加などむきだしの新自由主義政策を推進することが明確な自民、維新、みんな、公明などの右派勢力が国会の3分の2を優に超す議席を得る結果となった。「自民が支持を増やしたのではなく、民主が支持を大きく失っただけ」の実態など、詳細な票の分析を踏まえた概括にはもう少し時間が必要だが、平和をめざす人々にとって、この結果に対する率直な気分は「うんざり」「憂鬱」以外にないだろう。すでに、憲法改正発議に必要な3分の2以上の衆議院議員を自民党と維新だけで独占してしまったのだから、警戒を強め、常に身構える必要性は高まった。

新聞社等のアンケート調査によれば、今回当選議員の72%が「9条改正」に賛成、78%が現状では行使が認められていない「集団的自衛権」の政府憲法解釈の「見直し」に賛成と答えている(12/18毎日新聞)。これら民主主義とは無縁の議員に投票した人が、そのまま「9条改正」や「集団的自衛権」行使、原発の維持、推進に賛成というのが虚構であるのは明らかだが、他方で、3・11以降の悲惨な現実を受けても、なお原発問題や「憲法9条」等改悪問題が、自分の生活環境を改善する上での重要課題とはなっていないという深刻な問題が、あらためて浮き彫りになっている事実に目を背けることはできない。この課題を直視し、地域,現場からの闘いをいっそう強力に持続発展させることで、国会での極右議員の暴走を阻止し、戦争、原発推進勢力を政治の舞台から引きずりおろすために、行動を一時も止めることはできない。

この闘いをすすめるにあたって教訓とすべき闘いがある。今回54議席も掠め取った橋下らの「維新」と全く同様に、巧妙に知事の座を奪い取った共和党スコット・ウォーカー知事による公務員の団体交渉制度の解体をはじめとした、人権破壊、民主主義破壊の攻撃と闘った米ウィスコンシン州マディソンの闘いである。

この闘いを紹介した著書のひとつ「市民蜂起 ウォール街占拠前夜のウィスコンシン2011」(ジョン・ニコルス著)には、こう記されている。「民主主義は投票日で終わりではないということだった」「投票日は民主主義を始める日である。市民が公職者を選ぶのは、次の選挙まで自分たちを支配してもらうためにではない」「ウィスコンシンの最も優れた知事であったロバート・ラフォレットは、泥棒貴族が横行した時代に、次のように警告している。『われわれの政府の形態は民主主義的だから、政府は自動的に民主主義的な結果を生み出しているという前提に安住してきた。今では、どんな形態や名前の民主主義的機構も、自動的に機能するような神秘的な力を持っていない。専制、抑圧は民主主義的な形態の下でも、他の形態の下でと同様に起こりうる。われわれは民主主義が生き物であり、継続的な闘いを内包していることを理解するのが遅すぎた。代表制の政府の理想に近いものを実現できるのは、それぞれの世代の民主主義を愛する人たちが、敵による浸食に抵抗するときのみである』」。

(議員の)数だけを見ると絶望的に見える今回の選挙結果も、「投票日は民主主義を始める日」であり、これからの地域、現場での抵抗、闘いが「戦争・原発」推進議員の野望を砕き、民主主義実現への希望
を作り出せるかどうか決定付けることをあらためて確認しよう。ウィスコンシン州をはじめ世界の人々とともに、遠い未来の願いでもなく、4年を待つことなく、民主主義実現が可能であることを証明する行動に今から踏み出そう。
[会報「むすぶ」より]

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