今月を視る(「むすぶ」2015年2月号より)
2015-03-05


―戦争国家のための「法整備」に暴走する安倍専制政治―
強固な民意と自治の力で安倍政権に対決、打倒しよう!

安倍政権にとって、「地方自治」や「民意の尊重」はもはや「近代国家」、「民主国家」の「飾り」ですらなくなった。高浜などの原発再稼働が争点となった滋賀県知事選挙。辺野古新基地建設が明確かつ最大の争点となった沖縄知事選挙。「農協改革」「陸自オスプレイの佐賀空港配備」が争点とされた佐賀知事選挙。いずれにおいても、自民党擁立候補は惨敗し、安倍政権のごり押し政治は明確に拒否された。これは、民意を無視し、「国益優先」の名目で身勝手な政策を押し付ける安倍政権の中央集権政治に地方の有権者が怒りを爆発させた結果である。

だが、国会では、低投票率と小選挙区制のマジックで好き放題できる「多数」派を手にした安倍政権にとっては、「地方の民意」など「とるに足りない」ものとしか映っていない。反省するどころか、ますます「図に乗った」暴走を繰り返している。福井高浜原発については、滋賀県を含む周辺自治体の同意を求める民意を無視し、福島第一原発事故を全く踏まえない「安全審査」で「合格」を与え、川内原発に続いて再稼働へ準備を加速させた。沖縄では、知事らの「過剰警備」への抗議と警告を無視するだけでなく、コンクリート製の「トンブロック」(10t〜45t)を大浦湾にぶち込み、サンゴを破壊する暴挙を行っている。佐賀で争点の一つとなった「農協改革」については、本丸の「準組合員へのサービス提供の制限」(JA共済、JAバンクには莫大な金融資産がある)については今回見送ったものの、農協中央の権限を縮小させるとし、TPPに反対する農協の弱体化に着手した。また、オスプレイの佐賀空港使用に「慎重」な姿勢を示す新知事に対し、「方針は見直さない」との言い換えにすぎない「丁寧な説明で理解を求める」とコメントし、事実上の圧力強化を明確にしている。

「いつでもどこへでも自衛隊派遣」が念願の安倍政権にとって、「民意」も「地方自治」も邪魔な存在であり、この間の知事選等の結果無視は「念願」に突き進むための露払いでもある。

国会では、安倍政権が昨年4月の「武器輸出解禁」、7月の「集団的自衛権行使解禁」閣議決定の具体化に向けた法整備に本格的に乗り出した。まず、打ち出したのは、「ODA大綱」を改定し、新たな「開発協力大綱」の閣議決定(2月10日)である。これは、「ODA大綱」が民生分野に限るとしてきた枠を取り払い、「非軍事目的」であれば、他国軍への協力を容認するというもの。日本が支援した物資や資金を、他国軍がどのように運用するかを把握するのは実際は困難といわれているにもかかわらず、政府の「実質的意義」の恣意的判断一つで他国軍への支援の幅を広げようというのが狙いだ。例えば、米軍の避難民支援などの「民生支援」の目的は情報収集にあると言われているように、民生目的と軍事目的の境界は極めて曖昧という実態を利用した「抜け道」捜しと言ってもよい。しかも、ODAとは別の枠組みで、ASEAN諸国の軍に対し、「海洋の安全保障に役立つ」とする武器を防衛予算で援助しようという「見直し」もすすめられており、武器輸出大国への道筋を確実にしようと画策している。
続いて、打ち出したのは、「周辺事態法」を改正して、米軍以外の他国軍への後方支援を可能とする法整備である。さらに、自民党は、自衛隊の海外派遣を随時可能とするための恒久法の制定をめざすことを明らかにした。これらは、明らかに「集団的自衛権行使」を可能とし、自衛隊を「いつでもどこへでも派兵」するための法整備である。


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[会報「むすぶ」より]

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