今月を視る(「むすぶ」2016年3月号より)
2016-04-21


辺野古「代執行裁判」和解−高浜原発運転差し止め
あきらめない闘いが安倍政権の暴走を押し戻した!

辺野古「和解」は闘いの大きな成果!
3月4日、辺野古埋め立て承認取り消しをめぐる「代執行裁判」で、当初、工事中止を含む「暫定案」に難色を示していたとされる政府が、突如裁判所の和解勧告を受けいれ、沖縄県と政府の和解が成立した。この和解で、警視庁から機動隊を動員してまで強行してきた工事は当面止まる。この意味は極めて大きい。だが、沖縄地元メディアを除く多くのメディアは安倍首相の「『辺野古が唯一』との考え方と姿勢を変えるものではない」との態度表明によって、「政権の余裕の現れ」と評するなど政府のこの動きの背景を正しく伝えていない。目先の沖縄県議選、参議院選での争点隠しは明らかだが、「やり直し裁判では国が有利」、「和解項目の『判決に県と国は従う』に政府はメリットを見出した」「最大でも1年遅れるだけで、政府は、急がば回れの道を選んだだけ」等の表層だけの評価と分析に終始した。
政府が急に和解に応じた理由は「余裕の現れ」などではない。全く逆で、政府は一旦の撤退と態勢立て直しを余儀なくされたというのが真相である。政府を追いつめている力は、繰り返し強化される弾圧にもかかわらず怯むことのない非暴力行動を続ける辺野古現地の闘いであり、「あらゆる手段を尽くして阻止する」姿勢を一貫して変えない翁長知事を先頭にした県の取組み、総じてオール沖縄の闘いの力である。これらの力が、裁判所に従来のような安易な「政府勝訴判決」は出せないという判断を与えたのだ。『福岡高裁那覇支部の和解勧告が政府に厳しい内容だったことも事実。1999年の地方自治法改正で「国と地方公共団体が対等・協力の関係となることが期待された」のに、現状は「改正の精神に反する状況」だと批判。今後も訴訟合戦が続けば「国が敗訴するリスクが高い」とまで忠告した。訴訟に自信を持っていた政府に動揺が生じたことは否定できない。』(毎日新聞3月5日)と報道されているように、わざわざ「政府寄り」と考えられた裁判長を「異動」名目に送り込んだもののその裁判所から「敗訴リスク」を指摘された政府が動揺し、慌ててリスク回避に動いたというのが真相だといえる。
また、県が敗訴した場合、どうするのかとの質問に、翁長知事が「行政として判決に従うのは当然だ」と述べたことへの心配も一部にはあるが、「仮にその是正指示取り消し訴訟で判決が出ても、それで終わりではない」(琉球新報)。「今後、設計変更が出てくるが、そのたびに知事の承認が必要となる。設計変更を知事が承認しなければ工事はできない」からだ。裁判所が和解勧告の理由としてあげた「取り消し訴訟」後の新たな裁判で「国が勝訴し続ける保証がない」としたのはこのことだ。
 「県が政府との争いの初戦に勝ったと言える」(仲地博沖縄大学学長)現状に立ったことは確かだが、政府は態勢立て直しに必死になることはまちがいない。この企みを阻止するために、「辺野古が唯一」のうそを暴き、全国で「辺野古新基地はいらない」の声を一層高めることが急務だ。連日の行動で疲労が極度の辺野古現地の闘いの先頭に立つ人々に少しの休養は必要だが、本土の私たちには余裕などない。休むことなく、今こそ、全力をあげる時だ。

継続した闘いが原発も止めた
 3月9日には、大津地裁が高浜原発3号機、4号機の運転を差し止める仮処分決定を出した。「福島の事故を踏まえた過酷事故についての設計思想や外部電源に依拠する緊急時対応、耐震基準策定に問題点があり、津波対策や避難計画に疑問が残る」と「新たな規制基準に適合」が再稼働の唯一の条件とはならないことを明確にした判決であり、大きな意義を持つ。
「辺野古代執行訴訟」も「高浜原発運転差し止め訴訟」もあきらめのない継続した闘いが司法の認識に大きな影響を与えつつあることが示されている。闘えば安倍政権の野望を砕くことができる。この確信をもとに現在の新たな地平に立って全力をあげよう。

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