今月を視る (2016年6月号より)
2016-06-30


参議院選挙で明確に示そう
二度と「被害者にも加害者にもならない」決意を!

平和な沖縄、平和なアジアにつながる「恨之碑」の意義
6月11日、「沖縄恨之碑の会」10周年の総会と追悼会が読谷村文化センターで行われた。韓国からは姜仁昌(カン・インチャン)さんの遺族として姜信栄(カン・シンヨン)さん(4女)夫妻と李煕子(イ・ヒジャ)さん(太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表)や民族問題研究所のスタッフが参加された。総会で講演に立った李煕子さんは、1997年の沖縄全交での姜仁昌さんの訴えから今日までの19年間の日韓沖縄市民の歩みを写真などで振り返りながら、今「記憶を継承していく」活動の重要さを訴え、「沖縄のみなさんと韓国の市民をつなげていく活動を力いっぱい続けていきたい」決意で講演を結んだ。大雨のため「恨之碑」前から文化センターに会場を移して行われた追悼会では、「恨」の一般的なイメージが一つの障害となり建立地の確保に苦労しながらも、「痛みの歴史をバネにして、前向きに生きる姿勢や思想が『恨』だと学ぶ」ことで建立への熱い思いを培ってきたという平良修さん(前共同代表、現理事)のスピーチをはじめ、「恨之碑」を制作した金城実さんは、『「恨之碑」がなぜ読谷に建てられたのか? 今きちんととらえ返すべき。チビチリガマと「恨之碑」がつながることができているのか?「辺野古」とつながっているのか? 米軍犯罪と基地への怒りとつながっていけるのか? と問題提起し、「恨之碑」の運動が担わなければならない今後の課題の重要性を指摘した。
冒頭の「普天間ゲート前でゴスペルを歌う会」によるゴスペル、フィナーレの海勢頭豊さんよる「月桃」と「喜瀬武原」の演奏は10周年追悼会の意味をより強く印象付けるものであった。

海兵隊の撤退と新基地建設断念は最低限の要求―「軍属事件抗議県民大会」決議
 10周年の追悼会から8日後の6月19日、「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」が行われ、6万5千人が参加した。大会決議は、@日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと、A在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去を行うこと、B日米地位協定の抜本的改定を行うことである。
この3点は怒りと苦痛が頂点に達した沖縄の人々のもはや譲ることのできない最低限の要求である。被害女性の父親が県民大会に寄せたメッセージは「次の被害者を出さないためにも『全基地撤去』『辺野古新基地に反対』。県民が一つになれば、可能だと思っています」と大会決議より踏み込んで「全基地撤去」を痛切に訴えている。これこそ、沖縄の人々が抑えることのできない痛切な思いである。実際、世論調査(琉球新報社と沖縄テレビ放送が5月30日〜6月1日に実施)では、米軍関係の事件・事故を防止するために「沖縄からの全基地撤去」を望む意見が43%と最も多く、「辺野古移設反対」は84%に上っている。これ以上の被害を防ぐためには、沖縄から全ての基地をなくす以外に方法はない。

「辺野古が唯一」は構造的暴力の行使
 それにもかかわらず、日米両政府は辺野古新基地建設方針を変えようとしない。知事の「埋め立て承認取り消し」に対する政府の是正指示の適法性を審査していた総務省の「国地方係争処理委員会」が、適否の判断をせず、「いずれの判断をしても両者間の関係構築に資するとは考えられない」との結論を下した(6月17日)。昨年、一度は「違法とは言えない」とした「係争委」のぎりぎりの「判断」であり、「裁判の一本化」によっても解決は不可能で、誠実な協議以外に解決の方法はないとの趣旨と理解するのが相当だ。それでも政府は、県に「裁判提訴」を要求するなど、民意無視の辺野古新基地に固執し続けている。これは、構造的暴力の行使以外の何物でもない。
この政府の構造的暴力を止めさせる大きなチャンスの一つが、来たる参議院選挙である。

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[会報「むすぶ」より]

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