今月を視る (「むすぶ」2026年1月号)
2026-01-19


弱肉強食の野蛮な社会を拒否する市民の声と行動を!

周到に準備、計画されたベネズエラ侵攻
年明けから耳を疑うようなことが起こされた。1月3日、トランプの命令で米軍がベネズエラの首都カラカスなどに大規模に空爆などの攻撃をかけ、「電撃的な地上侵攻」によってマドゥロ大統領夫妻を拘束・拉致し、ニューヨークに連行した。この攻撃で、約半数に上る民間人含め100人以上のベネズエラ側の人々が殺された。すでにトランプ政権は9月以降、ベネズエラ周辺で「麻薬運搬船」と勝手に決めつけた船に対する攻撃を繰り返して120人以上を殺害してきた。民間機に偽装して攻撃する国際法違反、戦争犯罪のケースも暴露されている。今回の攻撃は何カ月も周到に準備、計画されたものだと言われる。「反体制派指導者」マリア・コリナ・マチャド(彼女は米軍の介入を叫び、イスラエル支持を公言する)のノーベル平和賞受賞も米トランプ政権の暗躍の結果との疑念も「周到な準備」の一つだろう。
CIA(米中央情報局)などを使って資金をばらまき、対政府批判活動の組織化やスパイ工作も大規模に展開されたことは容易に想像できる。大統領警護支援に派遣されていたキューバの戦闘員がほぼ皆殺しにされたのも、警護隊や軍の一部が買収されていたとの疑いもある。いずれにせよ、今回の侵攻作戦は最初から最後まで謀略そのものであり、国際法違反、戦争犯罪の蛮行である。

中南米での米国による血塗られた歴史
トランプは、ベネズエラの土地も埋蔵量世界一といわれる石油も「開発したのは米国であり、もともと米国のものだ」と当たり前のように言う。ベネズエラでは長年、こうした米国資本とそれに結託した国内の大金持ち勢力が富を独占し、大多数の民衆が貧困に苦しめられてきた。そうした極端な貧富の格差をなくし、石油をはじめとした社会的な富を貧困にあえぐ民衆に取り戻そうと改革を目指す反米左派政府を誕生させた。20数年前から今日に至っている。キューバ革命以来、中南米諸国では同様の改革が多くの国、地域ですすめられた。米国は、利権を失うことを恐れ、嫌い、これら反米左派政権に対しては経済制裁などを通じて経済を混乱させ、社会不安を煽り、時にはクーデターを起こさせ、時には、「低強度紛争」と呼ばれる軍事戦略で内戦を起こさせ社会改革をつぶし、体制の転覆を繰り返してきた。
1954年、米国が画策したクーデターにより、土地改革を進めていたグアテマラのアルベンス政権が崩壊。61年には、CIAが支援した亡命キューバ人部隊がカストロ政権の転覆を試みた「ピッグス湾事件」が発生。70年代以降は左派勢力の台頭を阻止する名目で、アルゼンチンやチリなどで軍事クーデターを起こさせ軍事独裁政権を擁立した。81年、レーガン政権はニカラグアに左派政権が誕生すると、軍事介入。エルサルバドル内戦でも軍事支援を行い、左翼ゲリラの封じ込めを図った。83年のグレナダ侵攻では、東カリブ海諸国軍を従えた米軍部隊が上陸し、短期間で反米政権を崩壊させた。89年、ブッシュ(父)政権はパナマに侵攻し、(米国が麻薬取引の罪で起訴した)最高実力者ノリエガ将軍(米国が育てたとされる)を拘束し、失脚に追い込んだ。
これらいずれの米軍侵攻の背景には、自ら「米国の裏庭」と位置づける中南米での石油やパナマ運河の権益など米国を拠点とする多国籍企業(グローバル資本)の利権を維持する狙いがあったことは明らかである。これらの蛮行に対して、国連総会などで「国際法の著しい違反」と非難する決議を可決したが、米国は、今回のトランプのように口にはしなかったが「国際法は必要ない」という態度に終始してきた。
「第2のキューバ」を阻止し、今やほとんど左派政権となっている状態にくさびを打ち込むこむことが、石油以上に大きな狙いと言える。中南米だけではない。「大量破壊兵器を保有している」(デタラメであったことが後に判明)ことを口実に大規模に軍事介入したイラク戦争は記憶に新しい。そして今また、イランに対する軍事介入を窺っている。

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